初冬のキノコたち

「もしかしたら今シーズン最後となるのかな。雪が積もらぬうちに」と、自宅まわりを夕方に散策。草木の落葉がすすんだこれからは、実の美しさが際立つノブドウがよく目に入ります。

散策の目的はもちろん初冬のキノコたちの観察。

立冬を過ぎた季節の主役はユギノシタキノゴ(雪の下キノコ・エノキタケ)。黄金色なので、日が短くなった夕刻の薄暗さのなかでも、傘はピカピカの輝きです。

エノキタケが好んで出る柳の木には、トヂナメラコ(栃ナメコ・ヌメリスギタケモドキ)も顔を見せています。

初冬のキノコといえば、「私も加えて」といいたいような姿をしているのはヤマドリモダシ(クリタケ)。それにムギダゲ(ムキタケ)。いずれも流木に発生したキノコたちです。

同じように深山から流木となって川原に横たわる朽ちたブナの幹には、ナメコもまだまだ健在。流木には、ナラタケの最晩生も見られます。

我が家の食卓を何ヶ月もの長い間楽しませてくれたハタケシメジも、やはり最晩生がニョキッとしたいい形で株をつくっています。草木の葉っぱがなくなっているので「おやっ、こんな所にも」という具合でキノコを見つけることができるようになっています。

冬支度後のちょっとした家周り散策で手にしたキノコたちは早速台所に運ばれ、夕餉そして朝餉と、キノコ、キノコ、キノコを楽しむ日々が続いています。

さて、終わりは毒キノコです。昔は食べられたそうですが、今は毒キノコ扱いされているツチスギタケとハイイロシメジの仲間は大発生(最後の写真4枚。黄色いササクレのあるキノコがツチスギタケ、白いキノコがハイイロシメジの仲間)。

ハイイロシメジの仲間など、香りも良し、口に含んでみればほどよい甘さもあり、おいしいキノコに違いなくもったいないですが、中毒事例(体質によって)があったと図鑑やガイドブックに記されています。晩秋から初冬に見事な菌列をつくって発生するので、眺めるだけでも充分に楽しめるキノコではありますが。まことにもったいなし、です。