毎年10月1日は、須川高原にある須川湖・朱沼神社の祭典日です。
鉄分が酸化した沈殿物で湖の底が朱色となっているため須川湖は昔「朱沼」とよばれ、そこに鎮座する社なので朱沼神社という名がつけられたようです。
成瀬川最上流域にある社として、直下の赤滝神社とともに訪れる人々や山麓の人々のくらしを見守りつづけている神社でもあります。赤滝神社がダム事業によって一時の遷座となっていますので、最上流域にある社としてこの先何年かは、朱沼神社が流域で働き暮らす人々の安寧無事を願う心の拠り所となる唯一の存在となります。
そういう思いを込めながら、玉串を献げ、乾杯の言葉を申し上げました。お祝いの席の栗駒山荘では、「研修」として派遣された村役場の若い職員達が、山荘の制服をピッと着け、接客業に一生懸命がんばっていました。
この祭典に向かう時は、荒れ空で、寒くて、湖面も秣下ろしの風(村最高峰の秣岳から吹き下ろす風)で波立つのを覚悟し、防寒への備えをバッチリ決めて行くのが常識。でも、きのうは1100㍍の高原でも3時なのに夏日のような温かさ、というより暑いほどでした。こんなことは祭典に20年近く通ってもはじめてのこと。日照が多いという今年の特徴をよくあらわしたまるで夏のような高原の秋でした。
でも、やはりそこは高原。1100㍍ラインでも木々の色づきがいっきに深まっています。須川湖キャンプ場管理人のSさんが、栗駒や秣岳の頂上を眺められるように口径の大きな望遠鏡を外に据えてくれていて「眺めて、見での」と私にうながします。その望遠鏡のレンズがとらえた頂上は真っ赤っかの紅葉盛りです。もう4~5日で須川高原温泉や栗駒山荘周辺まで紅葉の盛りラインは下がってくるでしょう。
Sさんも、「紅葉の時に、こんなに長く良い天気が続くのはめずらしい。頂上付近の紅葉の盛りの期間がこんなに長く続くのもめずらしい」と語りました。今年は、紅葉観賞に訪れる人々にとっては願ってもないシーズンのようです。
北の焼石連峰方面も、頂上が赤に染まっています。今日はその焼石に向かっています。
帰りは真っ暗。夢仙人大橋の上で、照明を受けて作業が進められている成瀬ダム工事現場を眺めて立ち止まりました。深山のそこだけが、まるで工場街のようになって見えます。