県南豪雪地帯のイノシシ、シカの棲息で

CIMG9876-1CIMG9878-127日の東京は湿度こそ低いがほんと真夏。街は半袖姿が主で、研修会場では沖縄の方々の涼しそうな格好と、我々北国のまだ夏姿になりきれない者とのちがいがくっきり。その東京と変わらぬ暑さが続くわが村。暑さのおかげで早苗はぐんぐん伸びている。

北と南ではいろんなおもしろいちがいもお聞きすることがある。大潟村には全国から入植された方々がいるが、同じ村でも、「どちらかというと作業へのとりかかりの早いのは北国、とりわけ北海道出身の方々で、南の方々はあんがいゆっくり派」というちがいが田植えなどにもあらわれるようだ。もちろん地域のちがいなどとは別に人の性もあるだろうが。

また、暑い日が長い南の地方の方々は、「昼休みが長い」とお聞きしたこともある。真偽のほどはわからないが、灼熱の日中は農家などもなるべく外に出る時間を避けるということなのか、なんとなくわかるような気がする。赤道直下の常夏の人々ならなおさらなのか。

▼きのう湯沢雄勝森林環境懇話会の総会が開かれ出席。管内の市町村長、議会の林業活性化議員連盟会長、土地改良区理事長、広域森林組合長、森林管理署の林野労組代表などで構成される組織の会議である。

出席された方々から「農業用水路の水がこんなに早く細くなるのはめずらしい。昔なば、騒ぎ始めだがもしれねぇ」との声が出されていた。雪消の速さ、山の雪の少なさ、5月の晴天雨不足続きが重なって「水の細さ」に話題が及びはじめる初夏となった。

さて、本題の総会の件。議案につづくその他の件で、県内、管内、県南でも棲息が確認されるようになったイノシシやニホンシカなどについて話題を提供させていただいた。県南部のような豪雪地帯で、樹木などに深刻な被害をおよぼすような彼らの繁殖はありえないと思うが、県や国は、この点をどうとらえているかという判断がもとめられる事態展開も予想される。それで、組織とも係わることなので、共通の認識を持つべきと考え発言した。

つまり、2種とも県内であるいは管内で棲息は確認されているようだが(村内椿川では今春イノシシ一頭が確認されている)、繁殖ということからみて必要以上の心配はないのかどうかということである。東日本大震災で、津波が襲った三陸町・綾里湾を見下ろす山でシカ猟をする現場に入ったことがある。北上産地のシカ猟などの山々をみればある程度の積雪(膝あたりの深さまで)でもシカは猛烈な繁殖をしていることがすぐにわかる。

しかし、そのある程度が問題で、積雪2㍍から3㍍のわが村ではまず彼らの生きられる範囲はごく限定される。まずほとんど無理だろう。それに、カモシカとちがって豪雪の中では移動も極めて困難で、そういう角度からみても深刻な被害をおよぼすような規模の繁殖はできないはず、と私はほぼ断言してもよいと思っている。だが、果たして事実はどうか。出羽山地でなら旺盛な繁殖ができるのか。いずれ、専門的な調査を実施していただいて、県民のみなさんが納得できるような科学的見解を早くお聞きしたいものである。

地方自治の本質はなにか

全国の町村議会議長・副議長研修会が26~27日に開催され、東京中野サンプラザに2日間詰めました。

CIMG9866-1CIMG9868-1CIMG9870-1CIMG9871-1CIMG9874-1CIMG9875-1研修会の講演とシンポジウムの内容は写真のようになっています。それぞれ参考になることが多かったのですが、とくに、2日目の青山彰久氏(読売新聞東京本社編集委員)の講演は、地方創生をふくめ国政の本質とねらいをよくとらえたものとして当方には共感する内容にあふれていました。

シンポに出席された北海道福島町議会さんは、わが村に一度行政視察に訪れていただいたところ。議会改革でいろいろと努力され全国から注目されている議会で、わが村議会と同じように通年議会も施行されているようです。

こうした研修会や様々な手段を通じて我々は地方自治のあり方、まちづくりも、むらづくりも、議会運営や改革・活性化についても学びます。その時に私が心がけるのは、地方自治に対する考えの原点を「市も町も村も、歴史的経緯やおかれた条件がみんなちがう。だから、自分の頭でまず、自分の地方自治体はどう運営されればもっとも住民の生活に役立つかをまず考える。そのうえで、参考になることにはおおいに学ぶ」という姿勢に立つということです。つまり、ほかに学びますが、真似が先になるようなことはしないしできないという姿勢です。まず、自らがおかれている現状をよくとらえて、計画立案、行動です。

ともすれば、それが逆になり、自分の頭で考えることが後となり、あそこの市町村(議会)でこういうことがやられたからそれに続け、と00条例づくりにつきすすんだり、形や体裁だけは整えたが、肝心の中身はほとんど発展なしということになりかねないことがあるのではないかと私はみています。要は、自分たちにとって何が必要とされているか、です。

市町村はみんな違うはず。そこにはそこの特徴があり、それを治め振興発展させるのはそこの住民の総力をあげた知恵でありましょう。他市町村との競争とかは本来自治の舞台では無縁であるはずで、むしろ互いにあらゆることで協力しあい、共通することでは先進例に学びながらも、ほかの真似ではなく「自分たちの頭で考えた結論を」導き出すべきです。

自治体発展のカギは、その総力、私はこれをある意味で「広い民度」といってもいいだろうと考えていますが。その一人である自分のこともふくめその「民度」をどう高められるか、自治の力がいまほど試されているときはないような気がします。そういうことも考えて、この間の商工会総会では、「我々は、戦後3つめの大きな試練のときにある」という思いをこめたつもりです。

ゆっくりはもちろんしていられません。わが村はわが村の「民度」の総力をあげ、わが村だけがもちうる特徴を活かした村づくりに励むのみです。憲法にかかげられた地方自治の精神は、そこの政はそこの住民の力で決まる、でしょう。憲法に恥じない自治を、です。

今年初の山菜採り山入り

正味2時間半ほどの合間をみて、今年はじめて山菜をめざし山入りしました。

実は、今年春の山入りはあきらめていたのですが、妻から「毎年、オメの採る、サグとアザミ、おしぃて、いうしと、まぢでらぞ(毎年、貴方の採る、サク・エゾニュウ(中心茎)とアザミ(茎))ほしいと、言う方、待っているはずですよ」「他にも、毎年、サグ、約束しているしと、えるべぇ、あでに、してらんだぞ(他にも、毎年、サク、約束している方がいるでしょう。あなたの採ってくるのをあてにしているはずよ)」と、二連発の勧告を先にうけていました。

こちらはうっかり、そのことを忘れていたのです。「あでにされている」、「約束はまもらねば」の二つで促されて、これは動かないわけにはいきません。そんなこともあっての山入りでした。

里山での山菜採りはすでにワラビに移り、各種の山菜を自由に手にすることができるのはブナの森の深山でも今はほぼ限られています。ましてや雪消の早かった今年です。タケノコは別にして、これからウドなど多彩な山菜を採るとしたら、深山でも雪崩で残雪が遅くまで残るクラ(崖)の下方へハギミ(山菜採りを生業とするプロの方々)の人々は向かいます。

長年、狩猟、クマ猟などで深山渓谷に山入りしたこちらも、どこの時期にどんな所へむかえばめざす山菜が採れるかほぼわかります。ただ、前述したように、なにしろめずらしく今年は一度も山にむかっておらずで、残雪の様子も山菜の様子もわかりません。

CIMG9842-1CIMG9845-1CIMG9848-1CIMG9847-1「まあ、なんとかなるべぇ」で向かったブナの森の通い慣れたクラ。ほとんどの山菜はやはり過ぎていましたが、かろうじて見られる残雪のそばには、めざしたサグもアザミも背にできるほど採れました。まっ盛りのウドもちらほら見られ、ナルコユリなどとともに山のアスパラガスと呼ばれる特上級のシュデコ(シオデ)も手折りました。

奥羽の豪雪深山は、雪消が早いこともあっていつもの年より早くタケノコシーズンが幕開けしそうです。まるで観光山菜園のような広大な野のワラビ山へはすでに宮城の方々が遠路ぞくぞく。これからのタケノコ山へは山形の方々の車が、今年も数珠のように連なる季節を目前にしています。山菜は村の資源、みなさん、採り去るだけでなく、村の温泉やお宿、お店などのご利用をよろしくお願いしますね、です。

▼今日と明日は、恒例の議長、副議長研修会で在京中。毎年のことですが、二人とも、こういう会議などをみながら農作業、田植えの段取りをたて、今年は二人とも田植えを済ませての出席です。

早めに田植え

CIMG9796-1CIMG9802-1CIMG9807-1CIMG9781-1CIMG9810-1土、日曜日で、たんぼしごとでは春のしめくくりとなる田植えを終えました。ツツジやフジの花が村では今が盛り。雪解け水が安定し、たんぼに大量の水が引かれることもあって、成瀬川も一週間前よりやや水量が下がっています。

わが家のたんぼ条件にあわせた苗の生育状態などを考えれば、できればもう一週遅れで植えたかったのですが、いろいろの行事都合などもあり、まずは予定どおりの作業となりました。

CIMG9833-1CIMG9831-1田植えを楽しみにしていた童は風邪ぎみで断念。それでも、子どもたちはやっぱり緑の子、土の子、水の子。家の中でじっとは嫌らしく早速出かけてきて、畦を走り、水路に入り、ついにはたんぼに入り、あるいはたばこ(休憩)に加わりにぎやかにと、連日の作業でやや疲れ気味のわたしたちを癒してくれます。

今年は5月始めの異常な高温の影響で、村内や、ひろく県南地方でも「ねっこ、焼いた。(苗を、焼いた)」との声多し。育苗ハウス内の温度管理に油断があり、高温で苗が枯れ死し、種の蒔き直し、やり直しの方が結構みられました。

CIMG9811-1CIMG9817-1CIMG9790-1高温続きの5月は、山菜などにも相当な影響をあたえているようです。わが家で栽培しているゼンマイの採取時期は、いつもなら田植えの頃までだったのに今年は極めて短く、収穫量も例年にないほど少なしで終わりました。

今は、ゼンマイに代わって転作田に約25㌃ほど植えているワラビがまっ盛り。わが家の食卓にはこれからしばらくワラビが途切れません。早い雪解け、高温、果たして、こちらの収穫量は今年どうなるか、注目です。

▼田植えをすませたきのう、今年の上作を願って神棚(私の場合は、自然、あるいは宇宙を神とみたてることが多い)に御神酒を献げました。そして今朝、一夜を過ぎて早苗が移されたたんぼに朝日がこうこうと輝きます。

CIMG9835-1瑞穂のくにに生きるからでしょうか、大切な主食をつくりはじめる田植えは、その作業が終わるとホッと心が落ち着きます。時代が移りかわっても「さあ、今年もはじまったぞ」は、田植えでまずひと落ち着き。また心と体のスイッチを切り替えて、夏にむかいます。

これは究極の求愛

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CIMG1328-1CIMG1335-1人には、好きなもの、きらいなものそれぞれありで、動物の種への好き嫌いもそれらのうちの一つ。私が動物のなかでもどうしても好きになれない代表格はハ虫類、なかでもヘビ。

でも、ヘビは、干支の大事な一員でもあり、ヘビ年生まれのみなさんも人口のおよそ12分の1はおられるはず。それに、ヘビはネズミ退治などでとっても大事な役割を果たしていて、歴史的には崇めの対象とされるほどの貴重な存在でもあります。そう、まだ他にもあります。猛禽類のクマタカやイヌワシなどは、夏場の主食のひとつがヘビ、もしヘビがいなかったら彼らの生態系は大きく崩れるでしょう。

ということで、まず、嫌われもののヘビへの偏見を解いたうえで、今日の言葉ならべははじまります。

実は、先月の26日、童とたんぼのまわりを散策していてそのヘビを目に。よく見ると、それは一匹ではなく二匹のヘビ。

よくあることで、おそらく雌雄のヘビが合体しようと連れ添っていたのでしょう。私はこの生きものには興味がありませんからただ立ち尽くしていました。ところが、生きものすべて、とくに、は虫類、両生類に特段の興味をもつ童は、二匹のヘビに霧中。

そのうち童は「あっ、求愛だ」の声を上げました。なんと、二匹のヘビが口を大きくあけてお互いの胴体に弱く噛みつき、しっぽをからみつかせ、けいれんし始めたのです。図鑑か何かで知ったのでしょう。求愛というよりも、これは愛そのものでしょうが。

ヘビの交尾シーンは幾度か見ていますが、お互いに噛みついての「求愛・交尾」などは私もはじめて見ることで、これにはおったまげてしまいました。噛みつきを終えた後の二匹の胴体には薄く互いの歯の跡がつきました。この時の二匹に警戒心はほとんどゼロ。こんな時にもし猛禽類など天敵が居合わせたら二匹ともたちまちあの世行きでしょうが、時間も長かった、この「求愛」の度胸には感心してしまいました。ヘビは命を捨ててでも愛にはしるという、これはそんな一瞬の写真です。動画でも記録しました。童は「求愛」という言葉でこのシーンを表わしましたが、命など無頓着に愛を深める、ヘビも、みなさん、なかなかやるものではないですか。

カメラを手におよそ30分近く、二匹の愛を視察し記録していた私と童の姿を見ていたお隣のたんぼ作業の方が、近くにいた別の方に「あの、しとだぢ、何、してらななんべぇ(あの方たちは、いったい、何を、しているのでしょうか?)」と不思議がっていたようです。我々は、究極の求愛シーンを観察していたのです。おそらく、童は、このシーンを記憶のずっと奥深くに大切にしまいこんでいて、時々、記憶の引き出しをあけるのでしょう。

CIMG9776-1▼昨日は早朝から植え代掻き。明日の田植え準備をととのえた今朝のたんぼです。

小さくてもやる気満々の商工会

7月末に、恒例の県南3ヶ町村議会議員連絡協議会の研修会を予定していて、今年の担当がわが議会ということで準備をすすめています。

今年、研修会の講師には、雄勝中央病院院長の中村正明氏を予定していました。すでにその旨を先生にお伝えしていましたが、昨日は正式に講師の依頼で病院へお伺いし、極めてご多忙の中、無理なお願いを快諾していただきました。

その後、村商工会と成瀬ダム振興事業協同組合の通常総会があり、後段の商工会総会と両組織合同の懇親会に出席。

あいさつが4人と多く、私は一言だけ「戦後3つめの試練にわれわれはおかれているととらえている。この先10年の1年1年のとりくみが、その後の村の将来を左右するという覚悟で、お互いの持ち場でもてる力を最大限発揮しよう」という旨の思いをこめてあいさつとしました。一言とことわった割には少々長かったかもしれません。

懇親会は、いつものようにみなさんの率直なご意見を広くお聞きできる時間。今回も、会員みなさんの実に様々な考えや見解に触れることができ、おおいに参考になりました。

小さな村ですから組織規模は小さいですが、創業者のみなさんから後継のみなさんまで、なんと元気いっぱい、やる気満々の商工会です。産業と雇用確保の担い手である会員のみなさん、村当局、議会、この3つが社会発展のための役割をそれぞれ果たしながら、がっちり歯車をかみ合わせてまわれば、村の将来展望は明るしです。

春絶景の季節に車がまだ通れない無念

おととい午後、所用があって須川高原の温泉地まで上がり、そのついでに須川湖周辺まで足をのばしました。

CIMG9757-1CIMG9758-1CIMG9761-1高原の温泉ですからまわりには残雪が多く、ブナの森林限界と高原周辺の湿地はミズバショウがこれから見頃となる様子。温泉や須川湖の周囲はタムシバの花がまっ盛り。周囲には、温泉に訪れたお客さんたちでしょう、私と同じように景色を楽しむ姿が見られました。

CIMG9762-1CIMG9764-1CIMG9765-1まだ栗駒道路(県道仁郷大湯線)が開通しないため、須川湖方面には徒歩でしか向かえません。でも、温泉からなら、歩いてでもほんの少しの時間でここまで行けます。湖周辺もふくめ標高1100㍍ラインの高原一帯は雪とタムシバとミネザクラ、イワナシ、これからはイワカガミなどの花でそれこそ桃源郷。こんなにすばらしい景色があるのに道路は閉鎖されたままというのはほんとに無念、もったいないことです。

観光立国、観光立県がかかげられています。、一刻も早く落雪や落石対策をとって通行閉鎖を早期解除し、ドライバーのみなさんが秋田、岩手、宮城を周遊できるようにし、平泉や仙台から近いこの温泉と高原景観の2大資源を一日も早く有効活用したいものです。

高原に関係する観光業者さんへは「早く開通をしてほしい」旨の問い合わせがひっきりなしに寄せられるそうです。村の観光業発展にとってもこの路線はいわば生命線の一つ。それもあって昨年は村と議会で落石、雪崩対策などについて特別の要望活動も行いました。

幸い、今年は、この路線に落石対策などでの予算が久方ぶりに盛られたようです。これは大のよろこびですが、しっかりとした安全対策を継続して講じていただけるよう、引き続きの予算確保へ声を大きくしていかねばの思いを強くしています。

▼きのうは、県南高規格幹線道路建設促進期成同盟会の総会へ。県南の首長さんや議長さんとは連続していっしょの会議。6月議会がはじまる前の5月は、全国いずこも同盟会総会の名が首長と議会の行事予定にずらりとならぶのでしょう。

高速道路はようやく山形とつながる見通しがすべてたち、すでにトンネルが貫通した院内道路は28年度に予定どおり開通するはこびのようです。当方、ある新聞に通信記事をせっせと書いていた若い頃、ある運送会社の長距離トラックの関係者から要請されてむかしのあの大変な主寝坂トンネルを取材し、その記事と写真を東北版に載せてもらい、ある国会議員を通じても含め話題提供したことがありました。その路線区間がいま、当時のあの難儀な道など想像できないほどに見事な高規格トンネルと道路へと変貌をとげています。

仙台の身内にでかけるときは、ほとんど山形経由で向かいますが、院内道路が完成し、さらに高規格ですべて結ばれれば、仙台へはさらに気軽に向かうことができます。山形からは、タケノコ採りだけでなくもっと多くの方々が村にも気楽に来ていただけるでしょう。

おっ、代掻きたんぼにイワナだど

CIMG9696-1CIMG9688-1過ぎた土曜日は、同じ区画にたんぼをもつ小規模な水利組合の春の水路掃除へ。

昨年まで参加していた90歳を越えるBさんが亡くなられ、ここの作業も何年かごとに構成世帯が少なくなっています。それでもこの組合はまだ員数が比較的安定している方で、村内には、作業人員が少なくなりもっと苦労しているところもあるようです。

そうしたことも見越して進められてきた村内各集落の生活・農業用水路の整備。国の直接支払交付金制度や補助事業などの活用もふくめ、ここ10数年で飛躍的な整備がおこなわれ、おかげで、維持管理の共同作業も労力軽減がはかられ、みんな助かっています。

わがたんぼの水は、岩手県境までの国有林を源流とする沼又沢から引かれます。取水口の堰堤そばには樹齢ウン百年とみられる横に幹を伸ばした見事な栃の木があり、その株元に実生から育ったのでしょう天然とみられる秋田杉が重なって幹を伸ばしています。

栃も杉も、集落がある川通野(カドリノ)の人々が生活用水(昔は飲料水も)と農業用水確保に勤しむ姿を長年見続けてきた樹。平成27年5月16日も、この水をまもってきた人々の子孫が、スコップを手にして水門を開け、春の水を満々と通しました。

CIMG9703-1CIMG9705-1わが家のたんぼがある川通野の地の小高い森(古代から明治はじめに人々が歩いただろう手倉方面に向かう道のある森)には、五穀神社があり、昭和17年3月17?日とかろうじて読める文字が刻まれた記念石碑が建立されています。岩井川開墾組合の名が彫られていますから、わが家の親族をはじめとする若干一同が組合の名で開墾をし、沼又沢から延々と水路を切り開きこの河岸段丘に水を通したのです。(文献が手元になく詳細は不明)

取水口沼又沢の上流部にはもちろん人家はなし。清流にはごく普通にイワナが棲息していて、昔から用水路でも、時にはたんぼでもイワナのとれることがよくありました。

CIMG9701-1先日も、お隣で代掻きをしていたわが本家のたんぼにイワナが入っていたらしく、トラクターに乗っていた従兄弟に捕獲された模様。「イワナが棲む清流で育つあきたこまち米」と時々私は言います。村の大きな用水路のほとんどには、数の多少は別にしてイワナやヤマメ、カジカなどが棲息しているので、渓流魚とともに育つ美味安心のあきたこまちです。

▼きのうは、雄物川上中流改修整備促進期成同盟会の総会で大曲へ。湯沢、横手、大仙、羽後、東成瀬の3市1町1村の首長と議長で構成される同盟会(会長・栗林大仙市長)です。わが村は直接雄物川には接していませんが、成瀬ダムで雄物川沿線の自治体と密接な関わりがあり同盟会の一員となっています。

県南の各支流を集め内陸を北に向かい秋田市で日本海に注ぐ県内最大河川の雄物川は、治水、利水もふくめ、県民のいのちと直接つながる川。未整備区間はまだまだ多いのです。

新緑の山里に子ら走る

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CIMG9721-1CIMG9725-1CIMG9722-1CIMG9732-1やや強い風があったものの、晴天に恵まれたきのうの小学校運動会。

第3週の日曜ということもあり、田植えシーズンの本格開始を来週末あたりにひかえる村内農家にとってもこれはありがたい開催日程。耕起作業を終えた農家のみなさん(とくに農作業の中心担い手である祖父母の方々)も、昨年と同じように気持ちゆっくりで孫たちに声援を送っているように見えました。

機械化農業の時代とはいえ、農山村の運動会は、田植えシーズン前の今回のような日程、ほぼ5月20日前頃までには開催が好評のようです。とくに応援にかけつける農家の方々にとっては、です。

里も深山も草木は芽吹きを終え深緑、成瀬川の雪解け水もほぼ安定した流れとなり、人事異動などでせわしかったはたらく人々の心も落ち着いてきたこの季節。平和で、こんなに緑いっぱいのなかで運動し、グラウンドでの昼食、幸せってこんな様子をいうのでしょう。

ところで、千葉大学名誉教授の三輪定宣氏は「高い学力で知られるフィンランドは1校あたり101人、フランス99人、イギリスは190人。日本は322人で異常に過大です。これらの国では、1学年1クラスが標準で、クラス替えはなく、みんながクラスの垣根を越えてよく知り合え、人間関係も深まり、人間らしい発達と豊かな社会性が育ちます。(中略)世界保健機関(WHO)も人間的教育を保障するため、『100人以下』の学校規模を勧めています(以下略)」とある新聞に談話を寄せています。

少し長く引用しましたが、学校での人間的教育を保障するには「100人以下」規模が最適なのだという人類が到達した教育科学の理論に確信をもった方がよいだろうということで引きました。教育でのあらゆることを考えれば、我々が小規模という学校こそ、最適の規模なのだということです。全校児童120人余、学校の規模としてはほぼ最適といえる員数のもとで村の子たちは、学びも運動も芸術・文化活動にもあふれるような個性の輝きをみせがんばっています。義務教育段階はこれが最適なのです。

子どもの数が少なければクラブ活動などの選択肢が狭まるなどという意見も根強くあります。しかし、学校規模が大きくなることによって、教育が本来めざすべき目標獲得が逆にむずかしくなること、それによって失われるものの大きさにこそ気づくことが必要ではないでしょうか。結局、何に最も重きをおいて学校規模を考えるかということなのでしょう。

村は、小、中ともにまったくの「適正規模」学校。今後当分は新入生の漸減傾向があるようですが、ほぼこの規模を維持するために、地方創世をかかげる国や県にやるべきことはしっかりやってもらい、村でできることにはさらに努力しなければと感じた一日でした。

▼15日、県町村議会議長会理事会で役員改選があり、現職全員の再任が決まりました。

進取の気概あふれたYばあちゃん逝く

▼昨日は、同級生の母で、いろんなことで教えをうけた地元のYばあちゃん(90歳)の葬儀の日で見送りに。

ある程度のお歳を重ねてから、かつ女性として運転免許を取得されたことでは村のさきがけの一人となったYばあちゃん(私たちは、牛乳屋のバッパとも呼びました)。地場産品を活かす山菜やきのこの缶詰加工でも、確かな技で人々にあてにされつづけた方でした。

わが集落は、新しい業にとりくむ方を比較的多く輩出しているところですが、故Yさんは女性として進取の気概にあふれた方でした。また、ピンとした筋を信念としてもたれていることがお話からうかがわれる方で、是は是、非は非と、他に媚びず自分の意見をきっちりと表明する方でもありました。ああいう意欲と創造力、向上心をもつYばあちゃんのような女性たちがさらに多く地域、村のなかに育ち、村発展の力になってほしいものです。

牛乳屋のバッパ、今年もまもなくタケノコ缶詰の季節がやってきます。お世話になりました。ご冥福を心からお祈りいたします。

CIMG9687-1CIMG9681-1CIMG9683-1CIMG9685-1▼わが家も含め、村のいずこでもゼンマイ干しが盛りの5月。敷地内では早くもレンゲツツジが花開き、知人からいただいた白花のシラネアオイも花を見せ、そばに植えているシドゲ(モミジガサ)群落も食べ頃となっています。

▼来月20日に開かれる湯沢雄勝農業者大会の実行委員会と、管内の農業委員会連絡協議会の総会があり昨日は羽後町へ。

講師は、NHKのためしてガッテンなどでもおなじみだった人間総合科学大学教授の熊谷修(くまがいしゅう)氏。「健康寿命を伸ばす食の手立て」と題しての講演でもあり、また実行委員会の柱となるJAなどの参加動員体制がさらに強められそうですので、今年は参加者の増が見込めるようです。